ここでは、金属加工、機械加工におけるバリ取りと面取りの違い、それぞれの種類について詳しく解説します。
バリとは、金属や樹脂などを加工した際に発生する、素材の出っ張り・ギザギザのことです。JIS B 0051による定義では、「かどのエッジにおける、幾何学的な形状の外側の残留物で、機械加工又は成形工程における部品上の残留物」とされています(※)。
日本ではもともと「カエリ」などと呼ばれていましたが、アメリカで英単語「Burr」を由来とする「Burr Technology」という言葉が使われ始めたことで、「バリ」が定着しました。
製品にバリが残っていた場合、取り扱う従業員や製品を手にする消費者がケガをする恐れがある上、製品の精度に影響を与えたり誤作動の原因にもなり得るため、取り除かなくてはなりません。
バリは、どんな加工法で発生したかによって、「切削バリ」「せん断バリ」「鋳造バリ」「鍛造バリ」などに分けられます。以下で、バリの種類と特徴を簡単にご紹介します。
素材を機械で削る際に発生するバリを切削バリと言います。刃物や砥石が素材に食い込む際や、素材から工具が離れる際に、素材が盛り上がることでバリが発生します。切削バリは、工作機械の剛性や精度、工作物の材質、形状や摩耗など工具の種類、送りや回転数など切削条件などの条件が影響を与え合い、発生すると言われています。
プレス加工で、ダイやパンチを最後まで押し切ることを「せん断」と言い、その過程で発生するバリを「せん断バリ」と言います。引きちぎりバリとも呼ばれ、硬く鋭利な形をしているのが特徴です。せん断バリの大きさは、パンチとダイの間にあるクリアランスなどによって左右されます。クリアランスの大きさを適正に設定することで、せん断バリを最小限に抑えることが可能です。
金属を溶かして液体にし、型に流し込む工法を鋳造と言います。鋳造バリは、この鋳造を行う際に、鋳型と鋳型のすき間に溶けた金属が流れ込むことで発生します。鋳造バリを防ぐためには、鋳型の欠落やクラックがないか確認したり、鋳造温度や湯道の取り付け場所を確認するなど、バリの発生原因に合わせた対策を取ることが大切です。
「鍛造」(たんぞう)とは、金属を叩いたり金型で押しつぶすことで、目的の形状に成形する加工法のことです。鍛造バリは、特に、金型で金属をプレスする際に、金型の型割線に沿って発生します。過荷重防止、欠肉防止のために型割線の間から意図的にはみ出させるものでもあるため、最小限のバリは出しつつも、必要以上に出しすぎないよう注意しましょう。
面取りとは、製品の角を落とす作業のことです。 機械で加工したばかりの素材の角部は、鋭利であったり、バリが発生したりしています。そのままの製品を使用すると、作業者や購入者がケガをする恐れがあるため、面取り加工が必要です。また、物との接触による破損を防止したり、製品の組み立てをスムーズにするために、面取りをする場合もあります。
面取りの種類は、大きく分けて「C面取り」「R面取り」「糸面取り」の3種類。それぞれ、加工方法や面取りを付ける位置に合わせて、旋盤やフライス、ドリル、ヤスリなどを使って加工します。
以下では、面取りの種類と特徴について簡単にご紹介します。
糸面取りとは、糸のように細い、ちょっとした面取り作業のことです。バリや角が最低限取れれば良いため、図面でも寸法は指示されていませんが、一般的には、0.1~0.3mm程度を目安に面取りを行うこととされています。糸面取りをしないと、加工する材料の先端が破壊されたり、取り扱う従業員や消費者がケガをする恐れがあるため、ヤスリや砥石などで全体に施します。
C面取りは、面取りの中でも代表的な加工で、製品の角を斜め45度に削り落とす加工のことです。単に「面取り」とも呼ばれます。加工の際は、材料を斜めにして削る方法と、材料はそのままで斜めに削る方法があります。いずれも、設計図に書かれている面取り角度・深さに合うように、しっかり測定を行った上で加工することが大切です。
製品の角を丸く滑らかに削る加工を「R面取り」と言います。子供用のおもちゃに代表されるように、特に安全性が重要な製品で行われています。同じ面取でも、斜めに角を落とすC面取りとは異なり、滑らかな円形に削る必要があるため、R面取り加工には専用のプログラミングと工具が必要です。その分、コストも高くなります。
上記の専用手工具を使い作業者が手作業でバリ取りをします。手作業ですが自分の手で持つ方法もあれば、加工対象物を回転する工具に当てて研磨を行うものもあるのが特徴です。
金属やプラスチックパーツ、ゴム製品のバリ取りができます。作業者が自分の手で作業を行う専用手工具は、基本的にはんだごて程度の大きさです。先端に回転する砥石やカッターが付いており、対象物の内側や表面や角面をなぞってバリ取りします。
研磨工具も同様です。棒状のヤスリで金属の表面を作業者がなぞる、逆に、研磨ベルトや研磨ディスクへ押し当ててバリ取りをします。巨船加工や角面の加工も可能です。
ブラシはナイロンや金属のブラシでバリ取りします。ブラシを回転させて逆に加工物を押し当てた加工方法もあります。手作業の場合、対応できる形状は工具が届く範囲なら対応できるでしょう。穴が浅い、工具が入る程度の穴なら問題ないです。逆に深い穴の場合には向いていません。重量物も手で持って作業するため同様です。
バレル加工は鉄、ステンレス、真鍮、銅、アルミニウムやチタンなどの材質も加工できます。バレル槽の中で研磨メディアと擦れあった加工物のエッジやバリを落とす方法です。そのため、バレル槽の中に入り、研磨メディアで落とせる材質に向いています。
バレル槽の中へ大量に対象物を入れて1度に研磨ができるため大量、一括に加工したいものにぴったりです。ただし複雑な形状だと、こすり合わせるという方法のため、研磨石が当たらずムラができる可能性があります。
対して、ワーク内面までは対応がむずかしいです。プラスチックの複合部品といった、表面を改質研磨したくないものにも適していません。基本的にシンプル形状の対象物の加工に向いている方法です。バレル槽の中に入れるわけですから、入らない形状や大きさものには向いていません。
対象加工物は通電性があるものならなんでもOKで、処理時間の短さから量産ラインにぴったりです。鉄、ステンレス、アルミなどのバリ取りに適しています。マイクロバリを除去する用途で採用されることが多く、複雑な部品や角面に丸みをつけたい場合に採用される方法です。
複数箇所も同時加工できます。手作業では届きそうにない深い穴でも、電極治具が入る形状や大きさであればバリ取り可能です。機械的な加工ではないことで、二次ばりを発生させたくない、加工の結果、熱やひずみを生じさせたくない材質や形状のバリ取りに向いています。
チタンや超合金、高硬度材料や難加工材のバリ取りもOKです。日常業務での仕上げ加工以外にも、異形の穴の加工面、内面の平滑化やバリ除去に向いています。他の加工法では届かないような内面、複雑な面の上や角、斜めや直角に交わるような部分なども加工できるのがポイントです。
穿孔や削孔、切削の前加工で生じたバリ取りもできます。形状を維持したい、被加工材の表面を均一に仕上げたいというニーズにもぴったりです。シャープな部分にR付けをしたいときにも適しています。
スチール、鋳鉄、アルミ、亜鉛、銅など利用できる金属は多岐にわたります。瞬間的な燃焼でバリ除去するため、薄く尖ったバリ取りに向いています。工具が届かない深い位置のバリも除去可能です。
油圧や空圧部品は複雑な交差穴が生じますが、サーマルデバリング・レーザー方式で対応できます。内部のバリ取りも熱による加工ですから対応できるのも強みです。ただ、高熱を利用してバリを取り除くわけですから表面が溶けます。あくまで材質は高熱にも耐えられる金属だけ対応でき、ゴムやプラスチックには向いていません。
科学的除去はバリを溶かして除去する加工方法のため、材質は溶けるものに適しています。加工物の表面すべてを少しだけ溶解させることで、マスキングがなくても除去できるのが特徴です。とくにマイクロバリを取り除くのに適しています。
常温で加工できるため、熱によるひずみが生じると問題となる材質や形状に適しているバリ取りです。また、傷をつけたくない、表面だけをなめらかにしたいという形状や材質に向いています。
超音波方式では、金属やプラスチック、セラミックスやガラスやステンレス、各材質の複合材でも利用できます。材質により難易度は上がりますが、基本的にほとんどの材質に向いたバリ取り方法です。形状についても幅広く対応できます。形状についても左右されません。バリが発生している場所が多方向、内面の交差穴などでもバリ取りできます。
材質や形状を選ばないために柔軟性が高いです。1個~数万個まで一括、連続処理もできます。バリが微小でもミクロンレベルでも除去可能です。
ウォータージェットは水を加工物にぶつけてバリ取りをします。水ですから水中で洗浄できるため、効率化という点もメリットです。噴射方法やノズルの形で加工範囲を調整できます。
金属のバリ取りに用いられます。チタンやインコネルのような硬度のある材質でも対応可能です。金属ではない、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、ガラス、大理石、セラミックスや石材なども加工できます。合金やクラッド鋼、厚みがある素材でも可能です。ただし、水に溶ける材質や薄いガラスは水圧で割れが生じるリスクが高いために向いていません。
対象物に求められる形状も、噴射方法やノズルの形状を変えることで幅広く調整できるのがポイントです。深穴、交差穴、段差部のバリ取りに適しています。
ショットピーニングは砂や樹脂ガラスパウダーやドライアイスペレット、金属球をぶつけるのですが、ウォータージェットと同様に、噴射方法やノズル形状で調整し、細かな穴や溝まで加工可能です。複数のものでも同時加工ができます。
液体窒素を使ってゴムやダイキャストといった成形品製造時に発生するバリを取り除けます。金属の冷凍バリ取りも可能です。形状も1mm程度の小さな部品でも、逆に重量物でも対応できるのが強みです。デリケートな製品のバリ取りに向いているでしょう。
大量のゴム成形品のバリ取りにも適しています。
バリ取り機メーカーを選ぶうえで、参考にしたいのが品質マネジメントシステムの国際規格「ISO9001(顧客満足)」を取得しているかどうか。ここではISO9001を取得している会社をピックアップし、品質・生産力・使いやすさの3つの分野で“スゴ腕”を持つバリ取り機メーカーを紹介します。
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※2021年12月調査時点でISO9001の取得を公式HPに記載しているバリ取り機メーカーのなかで、最も納入実績が豊富だった先生精機、ロボットシステムで最も機種が豊富だったXEBEC、最も小型のバリ取り機を提供していたXEBECを選出しています。